魔が好くスキマ
嘘つきの話を聞いた。
興味があったら読んでほしい。
(リンクが変な感じになってるけど変なサイトではないです…)
くっそ長いので端折ると、
・ゲーム改造界隈の話
・改造界隈にも天才と凡才がいる
・天才改造屋を詐称する嘘つきが、改造界隈を丸ごと巻き込んで無茶苦茶をやった話
・好き勝手やった自称天才改造屋が最後には追い詰められてボロが出た
・上のリンクは、嘘つきが暴れ回った経緯と、二度とこんなことが起こらないようにするための対策について書かれた話
さらに補足をすると、これはTwitterなどのSNSがそんなに普及していなかった時代の頃で、界隈のメンバー同士はSkypeを通してやりとりをしていた。
SNS時代にだってなりすましはあるが、過去数年間にわたってどんな交友関係にあって、普段どんな過ごし方をしているかがある程度わかるというのはかなりすごいことで、今回の話はSkypeや掲示板を通していた当時だからできたなりすましかもしれない。
彼は、天才改造屋という肩書を使って、それなりに優秀な改造屋に自分の仕事を手伝わせることに成功した。また、他人に作らせたデータを界隈にバラ撒くことで、自分自身にはまったく改造能力はないのに、あたかもそんな能力があるかのように見せた。
結果的にだが、この時手伝わせた改造屋が疑念を膨らませ、自称天才改造屋は偽物であることを暴かれてしまう。
最後の最後、暴かれきる直前まで、天才を騙る男はあの手この手で嘘に嘘を重ね続けた。
嘘つきの話を聞いた。
興味があったら読んでほしい。
日曜THEリアル!【緊急捜査!トラブルSOS 結婚をエサに女性をダマす男は許さないSP】 | OHK 岡山放送
そんなに長くはないが端折ると、
・詐欺師に弁護士がリアル凸してしばく番組
・今回は結婚詐欺師
・パイロットを詐称し、身分証まで詐称して女を騙す
・女からいくらか金を借りた後は姿をくらます詐欺師
番組の中で印象的だったのは、この詐欺師の
男はかつては本当にパイロットを目指していたのか、今でも諦めていない様子が見られるところだ。
弁護士から「これは文書偽造ですよね?あなたはパイロットではないんですよね?」と問い詰められる。
窮した男は「そうなっちゃいますね…」という言い方をする。
主観だが、なんだか結果的にそうなっちゃいましたねという言い方に聞こえるのだ。
女から金を巻き上げて、ひと財産築き上げて落ち着いた後は本当にパイロットになろうとしていたのだろうか?
他人を騙そうとする人は、誰よりもまず最初に自分自身を騙すのだという。
改造ゲーム界隈の嘘つきは、誰よりも天才改造屋になりたいと願っていたのではないだろうか。
パイロットを詐称する男は、誰よりもパイロットという成功者になりたいと願っていたのではないだろうか。
彼らは、非常に不合理なやり方ではあるが、自分自身に夢を見せることに成功した。
なりたくてもなれなかった何者かに、自分がなれたと幻想を見ることに成功してしまったのである。
彼らは、彼らの認知の中では紛れもなく成功者なのだ。だから成功者風の振る舞いができる。
次にしたことは、同じようにコンプレックスを抱え、何者かになりたいと渇望する者たちにも夢を見せてやることだった。
天才改造屋に憧れる人々。
パイロットと付き合いたい女たち。
誰だって、自分が憧れる存在に近づきたいと思う。なりたくたってなれない何者かになりたいと願う。
しかしそこに心のスキマが開くのだ。
わずかに開いたスキマを、魔は見逃さない。
一度入り込まれると、あの手この手で詐欺師は夢を見せ続ける。自分自身を騙すのにはそれなりに努力を要する。しかしそれに一度成功してしまえば、コツがわかるようになる。
コンプレックスを抱える人間が、何を望み、何を見せてもらいたいのかを。
詐欺師たちを偽物だと見抜く機会は、実は無数に存在した。
あれ?と思う瞬間は言葉にしないまでもあったはずだ。
どんな詐欺もそうだが、騙される側はその全てを見逃してしまう。
だって、それを認めてしまったら、自分は嘘つきに簡単に騙されるような人間だということになる。そんな屈辱に大抵の人間は耐えられない。
非常に巧妙なことに、詐欺師たちは本格的に騙すにあたって、少し大きめの要求を相手に飲ませる場合がある。
先の改造ゲームの場合は、書き手の人物に序盤で少し仕事を手伝わせている。
仕事を手伝った以上、自分が詐欺師の片棒を担いでいるという事実は、仮に頭をよぎったとしても認めたくない事実へと変わる。
だから、目を逸らし続ける。
蜜を吸い尽くされるか、次の獲物が見つかった段になって、詐欺師は気を緩め、その尻尾をチラ見せする。
その段になって初めて、騙されていたという疑念が確信に変わる。
かくして、夢を見せてくれた人は詐欺師へと姿を変えるのだ。
詐欺師の本質は、夢を見せてくれる人だ。
ただその夢が、醒めてみれば霞になってしまうというだけだ。
何者かになりたい、認めてもらいたい。
そんなスキマを今日も誰かが狙っている。